手元のフォントで縦書き表示するときの注意

好きなフォントで縦書きの原稿を確かめたい。でも、フォントをツールに読み込ませて大丈夫なのか、縦書きにしたとき字形が崩れないか、ライセンス上問題ないか——手元のフォントを持ち込むときに確認したいポイントを、実際に検証した挙動とあわせてまとめます。

フォントの持ち込みとは — Yomikumi でできること

Yomikumi の縦書きエディタでは、手元のフォントファイルを読み込んで、縦書きプレビューの書体を切り替えられます。挙動は次のとおりです。

試してみる(手順)

  1. yomikumi.com/text/ を開きます。登録は不要です。
  2. 次の例文を貼り付けます(句読点・括弧・長音の向きを確かめるための文です)。
例文(コピーして貼り付けてください)
縦書きの、句読点。「括弧」や長音ーの向きも、この文で確かめられます。
  1. ツールバーの「設定」を押し、「フォント」にある「フォントファイルを選ぶ」からフォントファイルを開きます(「フォントファイル(TTF/OTF/WOFF/WOFF2)をここにドロップしても読み込めます」という案内のとおり、ドラッグ&ドロップでも読み込めます)。
  2. 読み込みに成功すると「フォント「◯◯」を適用しました。このフォントはこの画面を閉じるまで有効です」と表示され、プレビューの書体が変わります。
  3. 設定パネルの「縦書きテスト表示」に固定の文字列「永あ亜、。「組」(縦)ー…12年!?」が読み込んだフォントで表示されます。句読点・括弧・長音の位置や向きに違和感がないか、ここで確認します。

縦書きの字形に注意 — 句読点の向きが変わらないフォントがある

横書きと縦書きでは、同じ文字でも置かれ方が変わるものがあります。読点「、」句点「。」は横書きでは文字の左下に付きますが、縦書きでは右上に置かれます。「「」」のような括弧や長音「ー」も、縦書きでは向きが変わります。日本語組版の要件を整理した資料である W3C「日本語組版処理の要件(JLReq)」でも、縦組と横組で字形が変わる文字として整理されています。

デジタルフォントでは、この置き換えをフォント内部の OpenType の「vert」(Vertical Alternates)という仕組みが担っています。フォントが縦書き用の字形を持っていれば、ブラウザが縦書き表示のときに自動で置き換えます。縦書き用の字形を持たないフォントでは、ブラウザが十分に補えず、横書き用の字形のまま縦に並ぶことがあります——読点が右上ではなく左下に見える、といった崩れ方です(CSS Writing Modes Level 3 は縦組でこうした縦書き用機能を使うことを定めつつ、足りない字形をブラウザが補い得ることも示しています)。

今回の実測(Chromium)では、縦書き用字形を持つ書体と持たない書体(検証用に作成した2書体)で同じ文を表示し、読点・句点の位置が「右上」と「左下」に分かれることを確認しました。おおよそ次のような見え方の違いです:

読点の見え方(右の行: 縦書き用字形あり/左の行: 持たない場合の崩れ方を模式的に再現)

Yomikumi はフォントが縦書き用の字形を持つかどうかを自動判定・自動補正しません。読み込み時にも「このフォントが縦書き用の字形を持たない場合、句読点や括弧の向きが不自然になることがあります。テスト表示と印刷結果で確認してください」という案内を表示します。縦書きテスト表示と、実際の印刷・PDF保存の結果で確認してください。

収録されていない文字は別のフォントで表示される

読み込んだフォントに収録されていない文字は、ブラウザが別のフォントで代替表示します(実測: 一部の文字だけを収録した検証用フォントで、収録外の文字が代替表示されることを確認)。欧文フォントや収録文字数の少ないフォントでは、かなだけ・漢字だけが別の書体になる「混植」が起こり、代替に使われる書体はブラウザ任せで、Yomikumi の既定の書体(明朝系)に戻るとは限りません。プレビュー全体の見た目を揃えたい場合は、日本語の文字ぞろえが十分なフォントを使ってください。

ライセンスの確認ポイント(一般知識)

フォントは、無料で配布されているものも含めて、それぞれの許諾条件(ライセンス)付きで配布されるデータです。フォントを原稿づくりに使う場面では、確認しておきたい点が3つあります。この節はフォント一般の話であり、法的な助言ではありません。個別の判断は、そのフォントの配布元が示す許諾条件を確認してください。

自由なライセンスの代表例に SIL Open Font License(OFL)があり、公式サイトは書籍・ポスター・ロゴ・ウェブサイトなどでの利用を認めると説明しています(条件の詳細は同サイトを参照)。一方、市販フォントは製品ごとの使用許諾契約で範囲が定められています。

なお、Yomikumi にフォントを読み込ませる操作は、端末内のブラウザで表示に使うだけです。フォントファイルがサーバーへ送信されることも、Yomikumi 側に保存・再配布されることもありません(前述の実測どおり)。

読み込めない・見た目がおかしいときの確認点

対応範囲の制限

原稿の保存と送信について

Yomikumi のアプリケーションコードとサーバーは、入力した本文もフォントファイルも送信しません。処理はブラウザ内で行われます。作業内容(本文)はクラッシュ復元のため端末内に一時保存されますが、フォントは一時保存の対象外で、保存されるのは本文と設定のみです。大切な原稿はツールの「ファイルに保存」で保存してください。

縦書きエディタ(無料・登録不要) 手元のフォント(TTF/OTF/WOFF/WOFF2)を読み込んで縦書きプレビュー・印刷/PDF保存。縦書きテスト表示で字形を確認できます。Yomikumiは入力内容もフォントもサーバーへ送信せず、ブラウザ内で処理します。